前回、公的年金と私的年金の違いをご説明させていただきましたが、今回は、公的年金を中心にご説明したいと思います。
公的年金は破綻する?
将来への不安は、子供から老人まで等しく持っていることもあり、企業はその不安をあおり、いろいろな商品を売り込んできます。ほとんどの人にとって、老後のことは「心配」であり、口では「心配ない」と言っていても、心の底から「心配ない」を思っている人はほとんどいないと思います。
その不安を突いて来るマーケティング手法は定型化されています。
1)将来あなたにはこんなに恐ろしいことが起こる(かもしれない)。
2)このサービスやものを買えば大丈夫。
良くある例では、
・あなたの血液はドロドロ、でもこれを飲めば血液サラサラに
・あなたには悪い霊がついている、でも子の壺を買えば悪い霊はいなくなる
「公的年金は将来破綻する」というメッセージも、上記と非常に似通っていると感じます。
なぜなら、情報の発信元が、
・テレビ(多数の企業CMを流すことで収益を得ている)、
・新聞を含む出版社(ページの多くを広告欄に割いている)
中心だからです。
消費者が一般的に抱いている「官僚は政治家への不信」と、老後不安は共鳴しやすいです。また、「官僚は政治家への不信」あおっているのは、上記と同様に、主にTV、新聞、出版社です。
不安をあおり、企業の広告を出す、これはもはやマッチポンプと思えます。
個人年金保険の売り込み
民間の保険会社は、大いに老後の不安を喚起し、「この個人年金保険に入って、老後に備えましょう」で商品を売り込んできます。
民間の生命保険会社が提供する「個人年金保険」にはさまざまなタイプがありますが、節税サラリーマンは、普通の契約者にとって得な商品は”現在(※)”ひとつもないと考えております。
※の補足
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「過去」は得な商品がありました。
節税サラリーマンが加入している年金保険は、
毎月1万円を20歳から55歳まで支払い、
56歳から70歳まで毎年80万円受け取る設計です。
支払いは1万円を35年ですから、
総支払い金額は420万円(内訳:1万円*12ヶ月*35年)
受取りは80万円を15年間ですから、
受け取り総額は1,200万円(内訳:80万円*15年)
加入当時はバブル景気の終わりころでしたので、
このような異常に高金利設定の保険がありました。
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「個人年金保険」に問題点は、
①保険会社の経費の部分が不透明で、運用の手数料にいくらかかっているのかがわかりづらい
②加入時点では手数料ゼロのように見えていて、加入後に手数料が増える傾向が強い
③元本保証がないと謳っていても、信用(倒産)リスク、流動性(解約する場合のペナルティ)がある
④投資信託から、さらに手数料を取る「変額保険」がある
などの点が上げられます。
また、一部には解約しようとすると高額の解除手数料を取られる場合もあります。
このほかにも「老後の不安」をネタに売り込んでくる金融商品には、下記のような例もあります。
・金
・海外不動産
また、下記のような販売手法をとる場合、その企業のコストが高くなりがちですので、契約前に手数料を細かく確認することをおすすめいたします。
・銀行、証券会社の対面窓口で販売される投資信託
・保険相談ショップが勧める保険(窓口会社の手数料がかなり高い)
すべてにメリットがないとは言い切れませんが、売り込んでくる時点で業者側のメリットが少なくないと思いますので、ご注意いただければと思います。
減る可能性は高いが、おそらく破綻はない
節税サラリーマンは、公的年金はおそらく破綻しない、しかしながら、減額は避けられず、それでも一定金額の支給は続くと考えます。
理由としましては、日本の公的年金は「割賦方式」を採用しており、自分が納めた保険料は、将来の自分ではなく、
現在の「受給者」が受け取る仕組みになっており、自分で支払ったお金を、将来自分で受け取る仕組みにはなっておりません。
つまり、受給者が受け取る年金の大部分は、その時々の現役世代が納めた保険料から支払われます。
極端な話をしますと、積立金がなくなった場合も、保険料を納める現役世代がいる限り、公的年金は破綻しないと考えます。
本論から少々それますが、「積み立て方式」の年金であった場合、積立金の枯渇は、公的年金の破綻を意味します。
まとめ
いかがだったでしょうか?
節税サラリーマンは「公的年金が破綻」は、
マーケティングキーワードと考えており、
その内容を紹介させていただきました。