日本人の多くは、「投資をしてない」でしょうか?
正確に言えば、間接的に投資はしていますが、「投資はしていない」と思い込んでいます。
例を挙げれば、毎月支払っている年金も資産運用の過程で株を保有しておりますし、銀行預金も、その資金で大量の国債を保有しております
■高度経済成長、バブル期の残骸
日本人の多くは、預貯金にずっとお金を置いておけば、「自然と利息がついて、知らぬ間に財産が殖えている」という高度経済成長、バブル期のイメージをずっと持っています。
ですので、毎月の有料や、年2回のボーナスであまったお金を「預貯金」に預け続けてきたのです
■海外の個人資産の投資割合
当ブログでは、iDeCo(個人型確定拠出年金)を中心にご説明おり、その投資先は「海外株式インデックスファンド」をお薦めしております。
その理由としては、国内市場は停滞しておりますが、海外市場は安定的な成長を続けている点を挙げております。
日本市場の停滞は、個人資産が投資市場に入ってこないことも一因です。
金融機関はあの手、この手で個人資産を投資にまわしてもらおうと手を尽くしておりますが、上記のとおり、「預貯金」に預けることのみで満足していると思います。
幕末の日本のようで、あまり使いたくない指標ですが、アメリカ、ユーロエリアと比べ、個人金融資産の構成に関して、確認したいと思います。
「図表2 家計の金融資産構成」をご参照ください。
数字を抜粋しますと、「現金・預金」は日本が51.5%と圧倒的に高く、アメリカの13.4%、ユーロエリアの33.2%を
大きく引き離します。
「債券、投資信託、株式等」の投資ブロックでは、日本は16.8%、アメリカは52.4%、ユーロエリア30.6%です。
「保険・年金・定型保証」は、日本28.8%、アメリカ31.2%、ユーロエリア34.0%です。
●サマリ
日本では「現金・預金」の比率が圧倒的に高く、「債券・投資信託・株式」で保有している資産が非常に少ないです。
「日本人は保険好き」という印象もありましたが、実際のところ、保険への投資も最も低い結果となっています。
アメリカでは「現金・預金」はかなり少なめで、株式が圧倒的に多い印象です。これは、アメリカでは貧富の差が激しく、特に企業経営者にはストックオプションや、起業家が企業売却で得た株式がその資産の多くを占めると考えます。
・上位1%が保有する資産は、下位90%の総数を超える。
・上位1%が保有する資産は33.8%、
2%~10%は37.7、10%~50%は26.0%、50%以下は2.5%。
といった集計は、あちらこちらに公開されております。
ユーロエリアは、「現金・預金」、「債券・投資信託・株式等」、「保険・年金・定型保証」が綺麗に3分割されており、歴史と文化背景に彩られている印象です。
■アベノミクス前、アベノミクス後
「アベノミクス」開始当初の2013年、同じ統計を確認してみますと、「現金・預金」の比率は53.5%、「債券・投資信託・株式」は15.1%です。
「現金・預金」の2%分(全体からすると4%)程度は、他の資産に移り、そのうちの3/4程度は「債券・投資信託・株式」に移っております。
数字だけを見ると、アベノミクスにより、「現金・預金」から投資へと金融資産のシフトが、ゆっくりですが進んでいます。
■まとめ
日本人の多くの人は「貯める」=「殖やす」と思い込んでおり、その呪縛から抜け出せずにいます。
「貯める」は使わないで取っていくこと、「殖やす」は育てること。
「殖やす」にはお金に働いてもらう必要があり、その成長には時間がかかります。
複利のメリットを享受しつつ、長期運用をすることが最適です。
私も40代の子育て世代です。
住宅費や教育費の支出に汲々としていますが、アベノミクスで「現金・預金」の2%程度が投資に回っていることもあり日本人のマインドも徐々に投資に関心が出てくるものと思います。
また、iDeCo(個人型確定拠出年金)が現役世代すべてを対象にしていることや、企業年金の削減や、年金基金の解散が相次いでおり、現在程度の社会保障を維持することは難しいと国が判断していると思います。
投資には慣れが必要ですので、毎月の給料の2%ぐらいからでも投資に回してみてはいかがでしょうか?
もし、少々の失敗があったとしても、複利運用を行うことで時間が解決してくれると思います。