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iDeCo-年払いで2つのメリット!手数料大幅減と、個人事業主の駆け込み需要

こんにちは、節税サラリーマンです。

当ブログでも時折ご案内しておりますが、2017/1/1に法改正があり、確定拠出年金に新しい制度が出てきました。

iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛け金は、「毎月23,000円」のように積立額を決め、毎月1回、同じ金額を積み立てるというのが2017年までのルールでした。

しかしながら、2018年1月からは限度額を年単位で管理することが出来、年に1回以上つみたてれば良いというルールに変わります。

年間に拠出できる金額の上限は変わりませんが、その内容の概要ご説明と、メリット、デメリットが発生しそうな内容を掘り下げてご案内いたします。

2017/12/1に国民年金基金連合会より、「掛金の県単位拠出について」という文書が発表され、一部不明確だった点も明確になりましたので、その点、ご案内させていただきます。

先に結論を言いますと、下記の方には、ご利用をお薦めできる制度となります。

①節税目的でiDeCo(個人型確定拠出年金)に加入、定期預金などの元本保証型、低リスク商品へ投資している方。

②予定より大きな収益を上げることが出来た個人事業主の駆け込み拠出。

法改正概要

2016/05/24に、確定拠出年金法の改正法(「確定拠出年金法等の一部を改正する法律」)が成立しました。施行は2017/01/01です。

今回ご紹介する改正のポイント

(1)企業年金の普及・拡大
③DCの拠出規制単位を月単位から年単位とする(2018/1/1より)

※法改正の全体確認をされたい場合は最下段の補足ご参照ください。

確定拠出年金の拠出限度額を定める単位を、月単位から年単位とする

本件の趣旨を例示すると、以下になります。

・法改正前、企業年金のないサラリーマンの拠出額は毎月23,000円です。

・法改正後、企業年金のないサラリーマンの拠出額は毎年276,000円になります。

確定拠出年金の対象者・拠出限度額

年単位拠出へ変更する場合の手続き

実際の処理は口座をお持ちの証券会社に確認いただく必要がありますが、国民年金基金連合会の発表を参照すると、「加入者月別掛金額登録・変更届(K-030)」へ記入する必要があり、事前に拠出額の年間計画を設定する必要があります。

また、「加入者月別掛金額登録・変更届(K-030)」は翌月以降の拠出する掛金について設定する処理となり、過去へのさかのぼり適用は不可となります。

拠出期間の考え方

拠出期間は、当年12 月分の掛金から翌年 11 月分までの掛金を1年間として考えます。(実際の納付月は 翌年1月~12月の1年となります。)

注意点

①この11月拠出(12月納付)は必ず設定する必要があること

②拠出が設定された月に掛金拠出が行われなかった場合、通算拠出期間に含まれない。(iDeCoでは10年拠出し続けませんと、年金として受け取ることが出来ません)また、追納もできない。

③月単位拠出を上回るペースでの拠出(前納)は出来ない。

数値シミュレーション

節税サラリーマンのように、勤務先に企業年金のないサラリーマンを例にシミュレーションしてみます。拠出限度額は年間276,000円です。

※単位は”万円”です。

  〇✕ 12
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11

A 2.3 2.3 2.3 2.3 2.3 2.3 2.3 2.3 2.3 2.3 2.3 2.3 27.6
B 6.9 6.9 6.9 6.9 27.6
C 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 16.6 27.6
D 27.6 27.6
E 27.6 27.6
F 3 1 1 3 1 1 3 1 1 3 1 1 20
G 2.3 2.3 2.3 2.3 2.3 2.3 2.3 2.3 2.3 2.3 2.3 25.3

年単位拠出運用例

月単位から年単位になると、下記のような拠出の組み合わせが検討できます。

毎月の負担額は少なめ、ボーナス時期(11月)だけ多目に支払う。

毎月の拠出額を2万円、毎年11月のみ56,000円拠出するなど、ボーナス月のみ多め目の金額を拠出する設定が可能です。

従来の毎月拠出する際の最低金額5,000円ルールは残りますが、今後は少し表現が変わり1回の拠出あたりの最低金額は5,000円となります。

毎年11月に1年分の拠出を行うメリット

個人事業主で業績が急拡大した場合

個人事業主の方が、予想以上にビジネスが拡大したことで、年末近くにあわててiDeCo(個人型確定拠出年金)に加入し、816,000円を一括支払いすることで、244,800円(※)の節税効果が出ます。

※の補足
売上900万、経費300万を想定した試算です。

元本保証型への投資で大きなメリット

iDeCo(個人型確定拠出年金)加入者は、毎月負担している手数料(節税サラリーマンの場合167円)のうち、103円を国民年金基金連合会に支払っています。これは、個人型年金規約142条(※)にて1ヶ月あたり103円が、国民年金基金連合会の手数料として明文化されているからです。

拠出金額から天引きされていますので、気づきづらいかと思います。実はこの手数料、拠出しない月は徴収されません。実際は拠出がないため、差し引く原資(拠出金)がないためです。

年1回拠出へ切り替えた場合、103円*11カ月分=合計1,133円も手数料が下がるということになります。

iDeCo(個人型確定拠出年金)加入者が支払う手数料の最低額は年間2,004円ですから、「年1回拠出にすることで、手数料が半額以下となる。」これは相当なインパクトとなります。

iDeCo(個人型確定拠出年金)は最低でも10年間の長期間払い込みが続く制度ですので、主に節税目的で定期預金などの元本確保型商品のみで運用している方は、是非検討してみてはいかがでしょうか?

※の補足

第142条 連合会が徴収する手数料の額は次のとおりとする。

二 掛金の収納及びこれに付随する事務に係る手数料1月当たり103円

引用元:個人型年金規約

年単位拠出留意点

ドル・コスト平均法を生かせない

毎月同じ金額の拠出ではなく、拠出金額にばらつきがある、年1回の拠出を行う場合などには、ひとつ問題があります。それは、ドル・コスト平均法を生かせないという点です。

価格の変動する商品を毎月1回など決まったタイミングかつ、一定額で買い付けていくと、ドル・コスト平均法の効果により、平均購入単価を下げることが出来ます。

ドル・コスト平均法を紹介した記事はこちら

ドルコスト平均法のリスク|4人の経済評論家の意見を比較してみた

比較的リスクの高い投資信託で運用している場合、毎月一定額で買い付けることで、ドル・コスト平均法による効果が見込めます。

ところが、年1回の拠出になりますと、その時々の相場水準の影響を受けやすくなり、高値つかみの可能性が高まります。

まとめ

いかがだったでしょうか?

個人事業主の方が儲かりすぎた場合の、駆け込み需要は面白いと感じましたし、元本確保型への投資を行う方には手数料のメリットがあると思います。

しかしながら、節税サラリーマンのように比較的リスクの高い投資信託(先進国インデックスファンド、海外REIT)へ投資している場合、ドル・コスト平均法の効果を得にくくなることから、年1回の拠出への移行は慎重に判断すべきと思います。

今回、掛け金拠出の多様化に関してご紹介いたしました。今後、更に便利な制度が出てくると、iDeCo(個人型確定拠出年金)がより使いやすい状況が生まれるかも知れませんね。

なお、iDeCoの口座をお持ちで無い方向け、節税サラリーマンお薦めの口座は「2017年10月版iDeCo口座|先進国株式投資ならマネックス証券がベスト」でご紹介しています。

投資先商品に迷ったら、「iDeCo投資先商品の選び方|世代別(30代、40代、50代)活用法」をご参照ください。

特に40代の方には、「iDeCo-40代の投資|アセットアロケーションとポートフォリオのご紹介」が参考になると思います。

 

編集履歴

2017/12/4 追加情報

2017/12/1付で、国民年金基金連合会が「掛金の年単位拠出について」を公開したことにより、不明確だった情報がはっきりしてきました。公開情報に合わせて記事内容も修正いたしました。

2017/11/19 追加情報

大幅に加筆修正いたしましたが、以下の点に関しては、未だ明確になっていないため、
その点、ご認識をお願いいたします。

iDeCo(個人型確定拠出年金)の年間投資枠への移行に関しては、「出来ること」、「出来ないこと」を複数の証券会社に問い合わせしたところ、各証券会社から「国民年金基金連合会」へ問い合わせを行うも、2017/11/17現在明確な答えを得られていないようです。よって、本記事記載事項に関しては、仮定の域を出ていないことをご認識お願いいたします。

補足

(ご興味あればご確認ください。法改正内容の詳細)

各項目ごとの施行日は(カッコ内)に記載いたしました。

(1)企業年金の普及・拡大

①事務負担等により企業年金の実施が困難な中小企業(従業員100人以下)を対象に、設立手続き等を大幅に緩和した『簡易型DC制度』を創設(2017/1/1より2年以内)

②中小企業(従業員100人以下)に限り、個人型DCに加入する従業員の拠出に追加して事業主拠出を可能とする『個人型DCへの小規模事業主掛金納付制度』を創設(2017/1/1より2年以内)

③DCの拠出規制単位を月単位から年単位とする(2018/1/1より)

(2)ライフコースの多様化への対応

①個人型DCについて、第3号被保険者や企業年金加入者(※)、公務員等共済加入者も加入可能とする。(2017/1/1より)

※企業型DC加入者については規約に定めた場合に限る。

②DCからDB等へ年金資産の持ち運び(ポータビリティ)を拡充。(2017/1/1より2年以内)

(3)DCの運用の改善

①運用商品を選択しやすいよう、継続投資教育の努力義務化や運用商品数の抑制等を行う。(2017/1/1より2年以内)

②あらかじめ定められた指定運用方法にする規定の整備を行うとともに、指定運用方法として分散投資効果が期待できる商品設定を促す措置を講じる(2017/1/1より2年以内)

(4)その他

企業年金の手続簡素化や国民年金基金連合会の広報業務の追加等の措置を講じる。

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