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同一労働同一賃金|中高年男性正社員は、給料が下がる2トップの一翼

アイキャッチ-給料

こんにちは、節税サラリーマンです。

ある日、営業先への移動でJR線に乗っていました。

ぼんやり電車の吊り広告(正確には壁面に張り付いている広告)を見ていましたら、給料が下がる人として、「中高年男性正社員」「長時間労働社員」を代表例として挙げている広告を見かけました。

「中高年男性社員」で長時間労働気味の節税サラリーマンは、こちらの広告が気になり、掲載されていた書籍を購入しました。

今回、参考になりそうな点に関してご案内させていただきます。

 

 

本記事作成にあたり、全般にわたり参照しております。

日本版「同一労働同一賃金」とは?

「同一労働同一賃金」は比較的昔からある言葉で、日本も加盟している国際労働機構の基本思想に、「同一価値労働同一報酬の原則」があり「男女が、同じ仕事あるいは客観的な基準に照らして同一価値の仕事である場合には、同一の賃金を受けるとるべき」とあります。

上記を受けて、日本政府が進める「同一労働同一賃金」は、概ね以下のポイントにまとめることが出来ます。

①正社員と非正規社員の賃金格差是正

非正規社員に限れば「同一労働同一賃金」はほぼ実現できているといえます。

首都圏でアルバイト先を探そうと思ったら、コンビニや飲食店の時給は大体1,000円程度です。これは女子大学生のアルバイト、50歳の男性もほぼ同じ賃金となります。

よって、非正規社員は「同一労働同一賃金」をほぼ実現できているといえます。

次に、正社員と非正規社員の賃金格差是正を考えた場合、非正規社員の賃金を正社員並みに引き上げることは、コストの面で相当難しいです。

反対に、正社員の賃金を引下げて、非正規社員並みにすることはコスト面から考えれば可能ですが、そのような企業に優秀な社員は残らないでしょう。

②社会全体ではなく、各企業内での賃金均等

企業毎の考え方にもよりますが、一昔前まで、新卒で入社した総合職は、数年おきにジョブローテーションを行うことが一般的でした。

3~5年程度で転勤を伴う異動を繰り返し、ゼネラリストを養成します。それも製造部門と、経理などの畑違いな部門をまたぐ異動もよくあることでした。

社会全体で「同一労働同一賃金」を実現するには、「その労働価値がいくらか?」に関して、社会としての合意形成が必要となります。

上記のようにコンビニバイトなら、時給1,000円が普通といった社会全体のイメージになります。

そして、もう少し範囲を広げて考える必要があります。経理部門を例にすれば、

伝票入力業務は時給1,300円、税理業務時給2,300円、グループ決算業務時給2,500円、海外子会社経理業務時給2,000円などになります。

そして合意形成によって算出された価値に対して、賃金を払う必要があります。

しかしながら、この場合、ゼネラリストの賃金を規定しづらくなります。その時々、配属された部署や、仕事内容によって収入が変化することへの懸念もあり、

各企業で考えなさいと半ば丸投げに近い状態です。

③年功序列など日本的人事慣習は維持する

②と合わせて日本的な落としどころだなと感じます。

「同一労働同一賃金」の実現には、労働に対する価値の定義を行いますが、日本以外の国々では、マネージメントを行う管理職と、一般職には2~3倍と大きな賃金差があります。

そのため、期待されて入社した管理職が結果を出せなかった場合、簡単に解雇されます。

日本において、新卒で入社して、ゼネラリストとなり管理職となった方が、「同一労働同一賃金」の合意形成の元、経験のない部署に配属されて、1年で結果を出せず解雇となるなど、性急すぎる変化を嫌っているのでしょう。

賃金バランスの一般的理解

日本国内で雇用されている労働者の賃金バランスは、概ね以下の通りです。

賃金バランス
非正規社員 正社員
子会社社員 親会社出向者
定年後 定年前
独身 家族持ち
若手 中高年
女性 男性
平社員 管理職

賃金の少ない立場からすると、賃金の多い人にことをうらやましく思うものです。

しかも、一見、同じ仕事をしているように見えることも問題をややこしくします。

しかしながら、「同一労働同一賃金」をこのまま推し進めることは、日本の将来にとって本当に正しいのか疑問があります。

節税サラリーマンの立場での考察

勤務先の話

節税サラリーマンの勤務先は、元々外資系であったこともあり、男性、女性の区別なく同じ固定給が支払われます。

その給与テーブルは社内公開されており、家族手当、住居手当の類が一切ないシンプルな給与体系です。そのため、独身者と家族持ちで賃金が変わることはありません。

そして、その人のランクが分かると年収も簡単に推測できます。

そのため、人事部門からは、特に一般職に関して、ランクを公開しないような指導がされています。

昇進や昇格機会は男性の方が多いと思いますが、会社として女性管理職を増やす方針があり、一部の女性には能力の伴わない昇進が増えております。

また、現在のところ、定年前と定年後で基本給の変化もありません。

財務的に安定している企業であることから、定年間近の上級管理職も自分の将来の収入を落としたくないので、ここにメスを入れることは当面なさそうです。

そして、役割毎にプロフェッショナル性を非常に強く求められます。

職種は、外勤営業職、内勤営業職(マーケティング、TELセールス)、技術職、事務職、管理職、専門職と6つに分類され、それぞれに要求される仕事内容と、ランク毎に仕事の質を要求されます。

同じ外勤営業の一般職でも、新卒と最高位では基本給に約2倍の差があります。

ランクは公開されていませんが、管理職からランクに応じた仕事の質は要求されるため、同じ部署にいれば田中さんはBランク、鈴木さんはAランク、と簡単に想像できてしまいます。

こうなると、田中さんと鈴木さんを比較したら、田中さんの方は仕事が出来るのに、どうして鈴木さんの方が高いランクなのだろう?との疑問が生まれることは必然です。

この場合、管理職には適切な処遇対応が求められます。

田中さんのAランク昇格や、鈴木さんがAランクに値しないとなると降格となります。

また、大企業と密接な関係を作った営業担当は、長期(10年など)に渡って担当することが多く、結果、転勤機会は非常に少ないです。

このように書くと良いことばかりの会社に思われるかもしれませんが、能力が足りないと判断された社員に対する対応は大変厳しいものがあります。

また、企業規模が小さかったころから在籍している社員で、企業の成長について行けない社員もおります。

彼らの能力不足は顕著ですが、事務職という個人能力が分かりづらい職種に多いこと、上級管理職に顔見知りが多いこともあり、彼らがターゲットになる可能性は低いのが実情です。

非正規社員もおりますが、彼らの給与水準にはかなりのばらつきがあります。最も安いのは直接雇用のアルバイト、次に事務系派遣社員、最も高いのが技術系派遣社員になり、下級管理職並みの費用が掛かります。

家庭の話

節税サラリーマンは会社員、嫁さん1人、ムスメが1人、父(母は死去)と同居しています。

全国的に考えると最もマジョリティな中年男性だと思います。

節税サラリーマンの嫁さんは専業主婦、小さいころから国語が得意で、それ以外の科目がすべて苦手という人です。そして、時々非常に鋭い指摘をします。

「昔のように、男性は総合職で給料が多くて仕事は大変。女性は一般職で給料は少ないけど仕事はらくちん、結婚したら専業主婦でたまにパート。が、結局一番幸せ。」というのです。

もちろん、「嫁さんが働きたくない」ことは割り引いて考える必要はありますが、ポイントを絞って考えると、これは非常に正しい指摘と感じます。

例を挙げます。

・専業主婦であれば保育園に子供を預ける必要はありませんから保育園問題は解決。
・急な外出や病気になっても、父が子供の面倒を見てくれる。
・夫婦共働きが増える理由の一つは、旦那の給料だけは足りないから。

節税サラリーマンの家庭では、だれも「同一労働同一賃金」を望んでなどおりませんし、考えることすらありません。

非正規社員へのインパクト

「同一労働同一賃金」を最も望んでいる人は、非正規社員でしょう。

非正規社員は自分の賃金が上がるから、「同一労働同一賃金」を望んでいると言い換えることも出来ます。

しかしながら、”現在の”正社員と同額への、賃上げ期待に応えることは難しいと言わざるを得ません。

ただし、現在の非正規社員全体の平均値で考えれば、平均賃金は上がるでしょう。

非正規社員とひとくくりにしてしまうと、上記のように論点がぶれてしまうため、ふたつの立場に分けて記載したいと思います。

ひとつめは、雇用側が労働者と直接契約によって雇用しているパート・アルバイト、同様に契約社員です。

ふたつめは、必要に応じて労働サービスの提供を受ける、派遣社員(人材派遣)です。

パート・アルバイト・契約社員

正社員と、パート・アルバイトの賃金水準を比較すると、正社員100%に対して、パート・アルバイトは60%弱(※)に抑えられています。

※の補足

著者が(独)労働政策研究・研修機構「データブック国際労働比較2017」より抜粋掲載。

小売、外食などのサービス業で働く非正規社員は、人手不足ということもあり、現時点でも賃金上昇の恩恵を受けていると思いますし、さらなる賃金上昇、人手不足の根本解決の過程で正社員化が期待できると思います。

ただ、その賃金上昇も限界点がある点はご認識いただいた方が良いと思います。店舗で働く正社員の賃金は比較的低く抑えられています。

イオンを例に挙げれば、パート・アルバイトの賃金を新人正社員並みに増やした場合、イオンのグループの経常利益がすべて吹き飛び、経常赤字になる試算が紹介されています。

また、正社員には大きな責任と義務が生じます。

パート・アルバイトであれば、年末年始休暇を取ることも比較的容易と思いますが、正社員となったからには、そのような休暇取得は難しいと考えなければなりません。

派遣社員

フルタイムで働く派遣社員は、「できることなら正社員になりたい」と考えている方が多いようです。

その場合の留意点として、以下3点に関して紹介されております。

①派遣社員→契約社員→正社員という過程を踏む必要がある。

②法律通りであれば8年の期間が必要である。

③実際に正社員になった人の大半は20代である。

契約社員

年末のテレビ番組で、2018年以降「無期契約社員」が生まれることを要因としたて、有期労働者の契約更新がなされなかったことに関したニュースをいくつか拝見しました。

中には17年働いた方もいたようです。

このような状況に関して、メディアや、契約更新とならなかった方には、雇止め(雇い止め)という、強いイメージの言葉を使いたがります。

しかしながら、こちらは既存の契約を更新しないだけで、当初より約束(契約)した雇用期間が満了したに過ぎません。

考察

技術職、事務職系で、賃金が大きく増える非正規社員は一部の優秀な方たちだけです。そして、彼らは地域限定正社員などの違う立場に変化していくでしょう。

それ以外の非正規社員の方には、より簡単な仕事が割り当てられることが予想され、賃金は良くて現状維持、もしくは若干の引き下げを覚悟する必要がありそうです。

状況を少し考えただけでも、複数の状況が簡単に想像できてしまうことからも、非正規社員全員が等しく賃金が上がるという期待は捨てたほうが良いと思います。

節税サラリーマンは過去、派遣社員の管理を行っておりました。

契約更新しない理由としては、期待したほど能力が高くなかった、業務が減ったことによる減員など様々ですが、意図せず強い反発を受けたことが少なからずありました。

詳細は記載しませんが、その結果、根も葉もない話をでっちあげられたこともありました。

正社員へのインパクト

若年層と中高年層を比べると、中高年の方が高収入、男性と女性を比べると、男性の方が高収入というのが一般理解でしょう。

見えづらい改善点としては、平成11年の調査では、女性の収入は35歳~39歳をピークに減少に転じていました。

しかしながら、平成28年の調査では、45歳~54歳がピークとなり、約1.2倍と上昇しております。

女性の収入の変化が、男性と近しい変化となりましたが、まだまだ男性との間には格差が大きいため、こちらは改善の余地があると思います。

中高年層

65歳までの雇用延長、女性社員の引き上げ、非正規社員の待遇改善など、昨今の状況は人件費アップのネタに事欠きません。

そのため、管理職になれず、専門性がない、収益貢献できない40代~50歳前後の男性正社員は人件費削減のメインターゲットとされやすいです。

また、管理職の賃金が海外と比較して安いとの指摘もありますが、現場から見るとそれほどの仕事量をこなしているとは思えず、経営層からも中間管理職は管理職見習いと見られがちであることから賃金アップは期待できそうにありません。

若年層

人口減少と共に、優秀な新卒雇用のため、初任給は少しずつ上昇傾向となります。

しかしながら、非正規社員への待遇改善のため、若手社員の賃金アップに回る原資が少なくなることが予想され、期待したほどの恩恵を受けられない可能性があります。

ただし、原資がたっぷりある企業では賃金アップが実施されると思われます。

考察:若手平社員は「同一労働同一賃金」を望んでいない

若手や平社員も「同一労働同一賃金」を望んでいるように思われがちですが、この階層を壊してしまうと、将来、中高年になり管理職となった頃、自分が受け取る賃金が減ることを意味していますので、若手や平社員は「同一労働同一賃金」を望んではいません。

中年の節税サラリーマンが、若手の心理を語っても全く説得力がありませんので、この裏付けとして2015年に大ブームになったピケティを引き合いに説明させていただきます。

ピケティによる「 21世紀の資本 」は2014年に発行された、600ページに及ぶ原書です。東大生協でこちらの書籍が販売トップになっていること、ピケティが「東大で講演」した様子のニュースを目にしました。

その中で、最も印象的だったのが、東大生が「やっぱり富裕層に入っておきたい。そのために、がむしゃらに勉強してきました。」と発言していることや、質問の一部で「僕たち東大生も親が裕福です。だから、いい学校に行けたし、将来も金持ちになると思う。」と発言していることから、現在はそうでなくとも将来は高い賃金を得たいと考えていると推察いたします。

「週刊現代」2015年2月21日号より一部抜粋

 

 

 

 

女性社員

統計では、男性に比べ、女性の収入は低くなります。

とはいえ、性差による賃金格差が一般的ではなくなっているため、女性の収入が低いということは、一般職に比べて高給な管理職比率が低いことが一因です。

政府は2014年6月に発表した成長戦略の中で、2020年までに「企業などで指導的地位に占める女性の割合を30%前後にする」という政策目標を掲げました。

ここで言っている、「指導的地位」が何を指すかはっきりしません。

いわゆる課長や部長といった役職の話なのか、職務権限の話なのかがぼんやりしております。

冒頭ご紹介の「各企業内での賃金均等」と同様に、経営層を含む管理職を差し、運用は企業に丸投げしていると思います。

管理職に占める女性割合

民間企業

この記事をご覧の皆さんは予測では、大企業は女性管理職が多く、中小企業のほうが少ないと考えていたと思いますが、結果は以下の状況となります。

社員数100~499人規模:11.9%

社員数500~999人規模:11.7%

社員数1,000人超   : 7.3%

中小企業の場合、同族経営の場合が少なからずあり、経理の責任者や、経営者の一部は女性ということが多いでしょう。

また、「社員数が多い=経営規模が大きい」という公式は成り立つのですが、事業拡大と社員数増大は必ずしも比例関係ではない業種が存在する点も注意が必要です。

 

公務員

公務員の人事制度が民間と比べ進んでいる部分は、男女による待遇の格差がない点でしょう。

特に賃金制度に関しては、基本的に男女平等です。また、育児支援も充実していることから、産休後の職場復帰もスムーズになります、とはいえ、管理職に占める女性比率は以下の通りになります。

・国家公務員:3.0%

・都道府県:6.8%

・政令指定都市:11.3%

・市区:12.4%

・町村:11.4%

民間企業と同様に、公務員に関しても、規模が大きいほど、管理職に占める女性割合が低下しておりますが、その差はより大きいものとなっています。

公務員の採用にあたっては、採用ランクをもうけ、高卒向け、大卒向けなど、ランク毎に違う試験を実施し、その後の出世も採用ランク次第というところもあります

国家公務員を例に挙げれば、もっとも難しい「国家公務員総合職試験」の合格者の女性比率が上がっていきませんと、女性の管理職比率も上がりづらい状況があります。

まとめ

いかがだったでしょうか?

 

本書では色々な立場の人たちに向けて、メリットデメリットを組み合わせて説明しています。

節税サラリーマンは中年男性、正社員ですので、近しい分野に関してのみ、自分の考察も含め記載いたしました。

経営者に向けた記載もありますので、一度ご覧いただくと色々な気づきがあると思います。

日本版「同一労働同一賃金」の方向性を正しく理解して、どのように動けば最適な状況となるかをあらかじ想定しておくことは重要だと思います。

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